2024.05.01

今月の言葉

5月の言葉「人間であること」

5月の言葉 「人間であること」

私が老人ホームに勤めていた時のことです。

A子さんという九十歳近い女性がいらっしゃいました。ある日、車椅子に乗って自分の部屋に入るために扉を開けようとしていました。A子さんは、とても痩せてしまっていて細い腕で力が入らず、なかなか扉を開けることができません。すぐに私は手伝おうとしました。するとA子さんは、「大丈夫です。扉は自分で開けます。」と言い、細い腕を精一杯伸ばし、扉を開けて部屋に入っていかれました。誰かに手伝ってもらえば楽なのに・・・

A子さんは、車椅子で動くことができなくなるまで、部屋の出入りを自分でされました。

その日々の姿に、なぜか私は、「A子さんが人間であること」の深さと尊さを感じたのです。

私たち一人一人が「人間であること」の深さと尊さを感じとることのできる人となっていく。

それが本学の願いであり、「私のままで輝ける」ということなのではないでしょうか。 

教務部長 森永牧子